労働法ポイント解説
労働基準法について
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社会保険・労働保険 |
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労働基準法の中身を見る前に、そもそも労働基準法とは何かを少し解説します。
1.労働基準法の位置付け
労働基準法は下記の2つのスタンスで昭和22年に制定されています。
・憲法25条の「生存権」、同じく憲法27条の「勤労条件の基準」を具体的に規定したもの。
・民法の「特別法」として制定されたもの
「特別法」は、民法等の一般法より優先されるため民法で規定されている総論としての規定より効力が強いものとされています。
2.労働基準法の目的
労働基準法は、社会的・経済的に見て使用者に対し弱い立場にある労働者を保護するものとして、労働条件の最低基準を定めています。
3.労働基準法の適用範囲
①全業種に適用される。
②労働者の国籍を問わない。
③他人を1人でも労働者を使用する事業は適用される。
④保護の対象は労働者であり、使用者(事業主)は適用されない。
となっています。
4.「総則」条文
(労働条件の原則)
第1条
労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。
これが第一条です。まさに生存権を侵さない最低限のものと読めますが、実際の判例等では、「標準家族の生活」が基本的な考え方になっています。
また「この基準を理由として労働条件を低下させてはならない」とは、経営危機に陥っている状況でもないのに最低条件を定めた労働基準法のレベルまで低下させてはならないことを規定しています。
(労働者、使用者の定義)
第9条
この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。
第10条
この法律で使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう。
「労働者」とは、他人の命令下で仕事を行い、労働の代償として賃金をもらっている者です。
従って、例えば不法就労によって入国した外国人労働者も、入国の方法は違法とはいえ、この法律上はれっきとした労働者になります。
「使用者」の中の「事業主のために行為をするすべての者」とは、経営企画、人事、労務等について権限を与えられた者をいい、実態で判断されます。
役職が「部長」や「課長」であっても実態がその上の上司の指示の伝達が主となっているような管理職は使用者とは見なされず、「労働者」になります。
法人の代表取締役や組合代表者は他人の指揮命令を受けないので、労働者ではありません。
法人の役員の中で代表権を持たないものについては、実態で判断されます。 |
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