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労働法ポイント解説  懲戒処分
 
 労働法ポイント解説

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  懲戒処分は、会社運営上の秩序を保つために、或いは秩序を保てない社員への制裁の手段として必要な制度ですが、懲戒処分そのものに関しては労働基準法に規定されていません。
社員に減給の制裁をする場合には「1回の額が1日分の半額を超えてはならない、総額が月次給与総額の10分の1を超えてはならない」と規定してあるだけです。

しかし、懲戒処分に関しては数多くの判例もあり、同じような案件でも判例が分かれていたり、経営者としてはしっかりとした基本知識を持っておかなければなりません。


1.懲戒処分の種類

一般的な懲戒処分の例は以下の通りです。下に行くほど厳しい処分になります。
 
①譴責(けんせき)
別の処分と異なって目に見える制裁はありませんので、最も軽い懲戒処分です。始末書や顛末書を提出させ、本人に反省を促します。
   
②減給
減給は最初に書きましたように、一定の額の限度があります。
・一回の減給の額がその社員の1日分の平均賃金の50%を超えてはなりません。
・一ヶ月の減額の総額がその月の月次給与の総額の10%を超えてはなりません。例えば、平均賃金が8,000円、月次給与が240,000円の場合ですと、一回の処分の限度額は4,000円で一ヶ月の限度額は24,000円となります。
後で記載しますが、出勤停止処分に関しては、停止期間中は給与は支給しないことが可能ですので、上記のような金額では処分としては足りないと判断する場合は、これより重い処分を選択することになります。
   
③出勤停止
停止期間に法的な上限はありませんが、一般的には3~5日程度、上限は1ヶ月程度と考えればよいと思います。また、停止期間は「ノーワーク、ノーペイ」で給与の支払いはしないのが通常です。
  
④降格
降格に伴って給与が下がることになりますので、かなり重い処分です。
「降格」から判例が多くなってきます。降格によって著しい減給が伴う場合には降格の必要性が問われることになります。
  
⑤諭旨退職
行なった行為としては極めて責任が重大であるものの、会社への過去の貢献度等から判断して、自主的に退職届を提出すれば、退職金を全額又は一部を支給するという処分です。
   
⑥懲戒解雇
詐欺、横領等の刑事罰に問われるような行為(実際に刑事罰を受けるか否かは問わない)をした場合等に、最も重い処分として「即時に」「退職金支給なしで」解雇します。
但し、最も重い処分だけに、争いも多いことは認識、覚悟しなければなりません。


2.懲戒処分に関する注意点

・就業規則での定めが必要
懲戒処分を行なうためには、就業規則において、懲戒の種類と事由についての記載がなければ懲戒処分は出来ません。
従って、そもそも就業規則が無い場合には懲戒処分は出来ません。
また、就業規則に懲戒処分の規定を整備したとしても、過去の行為に遡って処分することは出来ません。
   
・懲戒委員会での処分内容の決定
「懲戒委員会」等、名称は問いません。処分に公平を期すために、経営者や人事責任者が1人で決めるのではなく、懲戒案件が発生した場合に処分を決定するメンバーを可能な限り固定しておくことが望まれます。

・懲戒の内容、理由を書面で交付
対象者へ処分を申し伝える際には、後でのトラブルを避けるためにも文書にして手渡すことが求められます。
  
・二重処分の禁止
同じ処分案件に対し、例えば一旦譴責処分を行ない、後日降格させるような二重処分は許されません。
  
・処分レベルは平等に(平等待遇の原則)
全ての社員を公平に扱うこと。「要注意社員だから、あの社員は嫌いだから厳しい処分」は許されません。
  
・妥当な処分を(相当性の原則)
処分の種類、程度には妥当性が必要です。
例えば、遅刻2回で諭旨解雇等という処分は相当ではありません。世間一般のバランスも考慮しなければなりません。
  
・問題行為は記録を残す
処分を決定する前に、問題となる行為内容、行為の日時等の記録、被害者がいる場合には被害者からの申告内容等を全て文書で証拠として残しておきます。
後でトラブルになった場合に必ず必要になります。
  
・本人への弁明の機会を与え、顛末書を提出させる
問題行為を行なった本人に対し、処分の前に事情聴取と弁明の機会を与えるのと同時に問題行為の経緯を本人にまとめさせた「顛末書」を提出させます。
問題行為には別の原因が隠されている可能性もあります。
また、事情聴取、弁明の機会の記録も⑦同様、必ず文書で記録しておきます。
 

 


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