労働法ポイント解説
労働基準法について
労働契約・雇用契約
賃金(給与・賞与)
労働時間・三六協定
残業手当
休日・休憩
年次有給休暇
退職・解雇
懲戒処分
試用期間
労働基準監督署
社会保険・労働保険 |
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社員を1人でも雇用すれば労働条件を明示しなければなりません。ここでは労働契約について解説します。なお、民法では「雇用契約」と呼ばれます。
(法律違反の契約)
第13条
この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約はその部分について無効とする。
この場合において、無効となった部分はこの法律で定める基準による。
社員を採用するとき、契約社員の契約を更新するとき等、「雇用契約書」(「労働契約書」等の名称は自由です)を交付し、契約を締結しなければなりません。
しかし、その内容が労働基準法で規定されているレベルより下回っている場合には、「その部分について」のみ無効になり、自動的に労働基準法に規定されているレベルにまで引き上げられます。
なお、一部が法に反していても、その部分のみが無効になり、それ以外の部分については影響はありません。
(労働条件の明示)
第15条
使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、文書により明示しなければならない。
2 前項の規定によって明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は即時に労働契約を解除することができる。
3 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。
社員を採用する際には、必ず文書で労働条件を明示しなければなりません。文書には、「労働契約書」や「雇用契約書」等、名称の決まりはありません。
また、条文の「労働省令で定める事項」とは下の項目です。
①労働契約の期間
正社員の場合には「期間の定めはありません」という趣旨の記載をします。
契約社員の場合には契約期間を明記します。現在の法律では後述の通り、契約期間は原則として最長3年間です。ただし、満60歳以上の者を雇用する場合や高度な専門知識を有する者を雇用する場合には最長5年となっています。
しかし、契約社員の契約期間は殆どが1年毎に更新されています。事実、3年という長期の契約をするのは現実的ではない場合が多いようです。
②就業の場所、従事すべき業務
勤務地(住所)、携わる業務内容を記載します。ただし、長期的に勤務地や業務が異動などによって変更される可能性がある場合には「●●その他会社が指定する事業所」「●●その他会社が指定する業務」と記載しておくべきです。
③始業・終業の時刻、時間外労働の有無、休憩時間、休日、休暇、
シフト勤務がある場合には、「就業時間の繰上げ、又は繰り下げることがある」等と記載をします。
④賃金の決定、計算、支払の方法、賃金の締切、支払の時期、昇給
諸手当(通勤手当、時間外労働手当等)についても内容を記載します。
「昇給」の項目はありますが、法律では「毎年昇給させなければならない」とはどこにも記載はありません。
従って「昇給については賃金規定第●条」等を記載し、その中で詳細を記載するのも一つの方法です。
⑤解雇(解雇の事由を含む)
これも必須事項です。
通常、解雇の事由はかなり多くの項目があるはずなので、代表的な項目のみを記載し「詳細は就業規則第●条に記載」としておけば結構です。
(契約期間等)
第14条
労働契約は、期間の定めのないものを除き一定の事業の完了に必要な期間を定めるものの他は3年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあっては、5年)を超える期間について締結してはならない。
1)専門的な知識、技術又は経験(以下この号において「専門的知識等」という。)であって高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る。)との間に締結される労働契約
2)満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約(前号に掲げる労働契約を除く。)
2 厚生労働大臣は、期間の定めのある労働契約の締結時及び当該労働契約の期間の満了時に おいて労働者と使用者との間に紛争が生ずることを未然に防止するため、使用者が講ずべき労働契約の期間の満了に係る通知に関する事項その他必要な事項についての基準を定めることができる。
3 行政官庁は、前項の基準に関し、期間の定めのある労働契約を締結する使用者に対し、必要な助言及び指導を行うことができる。
ここでは契約社員の契約期間について規定されています。
契約社員との雇用契約の際には、契約時に「期間終了時に更新することがありえるのか、ないのか」を明記しなければなりません。 契約を更新する可能性がある場合には、する場合、しない場合の基準を記載しておくことがポイントです。
なお、専門的知識を有する労働者とは次のものです。
博士の学位を有する者
公認会計士
医師
歯科医師
獣医師
弁護士
一級建築士
税理士
薬剤師
社会保険労務士
不動産鑑定士
技術士
弁理士
システムアナリスト
アクチュアリー |
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