労働法ポイント解説
労働基準法について
労働契約・雇用契約
賃金(給与・賞与)
労働時間・三六協定
残業手当
休日・休憩
年次有給休暇
退職・解雇
懲戒処分
試用期間
労働基準監督署
社会保険・労働保険 |
|
|
(賃金)
第11条
この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。
賃金とは社員が働いた対価として会社が支払うもので、「給与、~手当」といった名称は問いません。
後でも出てきますが、「働いた対価」なので、働かなかった分に関してはその分減額することも可能です。
(賃金の支払)
第24条
賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また法令に別段の定めがある場合、又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。
2 賃金は毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(第89条において「臨時の賃金等」という。)については、この限りでない。
賃金の支払には下記の5つのルールがあります。
①現金で支払うこと
ただし、労働協約がある場合に限り、現物での支払いが認められています。
「労働協約」とは労働組合があって初めて存在するものなので、組合の無い会社は自動的に現物支給は認められない、ということになります。
②直接本人に支払うこと
例えば、家族の口座に振り込んだりすることは許されません。
ただし、本人が長期的に入院している場合等で、家族が「使者」という立場で受けることは認められます。
③全額を支払うこと
以下の場合に限り、賃金の一部を控除する事が出来ます。
・法令に定めがある場合
所得税、住民税、社会保険料については逆に源泉控除が義務付けられています。
・労使協定がある場合
労使協定で定められていれば組合費、社宅費、社内製品の購入代金等を控除する事が出来ます。
・遅刻、欠勤等「ノーワーク」の部分
就業規則等に規定してあれば、ノーワークの部分については減額することが可能です。
④毎月一回以上支払うこと
例えば年俸制を採用している会社でも12等分する等で、毎月支払わなければなりません。
ただし、この決まりは臨時に支給される賞与、退職金は対象外になります。
つまり、月次給与(月給)は必ず支払わなければなりませんが、臨時の賃金である「賞与」や「退職金」に関しては法では一切、支払を義務付けていません。
⑤一定期日に支払うこと
毎月20日、25日など毎月決まった日に支払わなければなりません。 ただし、その日が休日の場合はその休日の前日に支払えば問題はありません。
また、毎月第3金曜日といった決め方は、「一定期日」にはならないので、注意が必要です。
この決まりも臨時に支払われるものは対象外です。
(休業手当)
第26条
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金(※)の100分の60以上の手当を支払わなければならない。
下記のような「会社都合」で休業する場合は、平均賃金の6割を支払わなければなりません。
・仕事がないため社員に自宅待機をさせる場合
・仕事はあるが、材料が調達できなくて、一定の期間休業せざるを得ない場合
・経営不振になり、入社が決まっている者の入社時期を遅らせる場合
ただし、下記の場合には「会社の都合」とは見なされず、休業手当の支給義務はありません。
・社員のストライキが発生し、仕事が出来ない場合
・健康状態が思わしくない社員に休業(休職)させる場合
・地震で会社が倒壊し、仕事が出来ない場合
*「平均賃金」の計算は以下のように行ないます。
前3ヶ月に支払われた賃金の合計額(臨時のものを除く)÷ その3ヶ月の総歴日数
|
|